東大比較文学會
学会案内 活動 記録資料 研究書誌 掲示板 リンク
掲示板

会員図書 研究動向 近刊書紹介・書評 推薦図書 研究会のお知らせ
展覧会・カタログ評院生委員会
活動主旨 構成 活動記録 展覧会カタログ評 展覧会寸評 CatalTo

CatalTo2018 授賞式・パーティー開催〔2〕


日時:2019年7月26日(金)15 : 50 - 19 : 00
場所:東京大学教養学部駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3およびオープンスペース
出席者:学内外関係者51名
活動報告:(〔1〕のつづき)

◎CatalTo2018学術賞(福島県立博物館)
『戊辰戦争一五〇年』
・プレゼンターより(東京大学準教授 出口智之)
 戊辰戦争の歴史は、これまでロマンティシズムをもって語られるか、敗者の悲惨さが強調されるかたちで語られることが多かった。しかしこのカタログにおいては、薩長の側からでもなく、政府軍の側からでもなく、敗者の側から学術的に、そして客観的に事実をとらえようとする試みが実践されていることが感じられ、感動した。また戦闘の経過、それに加わった一人ひとりの人物、敗戦処理、戦後の慰霊や回想に至るまでを完全に網羅したカタログである点に衝撃を受け、「戊辰の戦役を目の当たりにせよ」とカタログの腰帯に書かせていただいた。またこのカタログは、敗者側に歴史、文化、文学という観点から光を当て、その活躍を追うことで、会津、二本松出身の、今日名が知られていない文化人を紹介する貴重なものにもなっている。

・受賞者より(福島県立博物館 阿部綾子)
 この展覧会は福島県立博物館、新潟県立歴史博物館、仙台市博物館の三つの館の共同企画として、約2年間を費やして準備した企画展である。戊辰戦争における出来事、当時の人々の視点、歴史背景、戦争の経過を、感情表現を排して客観的にそして丁寧に描写することを一つの目的としてきた。この企画展を組織した三館は敗者側、または劣勢に立たされた潘が本拠地としていた場所にあるという点で共通しており、明治150周年という節目に際し、敗者に注目しながらも戊辰戦争という一つの観点を通して、丁寧にその事実を紹介するということに、三館で手を取り合って尽力した。
 工夫した点の一つとして、カタログの表紙は写真や図、サブタイトルなどを排することで、シンプルに「戊辰戦争一五〇年」としたことがある。このことについては、敗者の視点からの戊辰戦争を象徴するイメージがなかなか見つけられなかったという事情もある。しかしそれ以上に、それぞれの地域において異なっている戊辰戦争のありかたに注目し、また一見すると一枚岩のようにとらえられがちな列藩同盟、会津藩の中にある多様性の存在にも注意した結果、どのイメージにも偏ることのないシンプルな表紙に決定したのだという点を工夫のひとつとして紹介したい。
 また展覧会、カタログの両方において、渋谷源蔵という会津藩士をナビゲーターとして登場させ、その個人が体験した出来事、また当時の出来事に対する渋谷源蔵の感想を逐次具体的に盛り込むことで、当時の人々の様子、視点を紹介することにも配慮した。

◎総合デザイン賞(印刷博物館)
『天文学と印刷―新たな世界像を求めて』
・プレゼンターより(修士課程 廣川千瑛)
 とてもたくさんの方々が、この展覧会カタログ、そして展覧会のチラシのデザインについての賛辞を口にしていた。その理由の一つとして、コールドフォイルという印刷技法によって、「天文学」という言葉から私たちがイメージするような、きらびやかなイメージの表現が達成されていることが挙げられるだろう。またチラシを集めて並べたくなるような仕掛けも見事である。集めたい、並べたい、見せたい、自慢したいという、人の知に対する欲望が刺激され、自分も天文学と印刷の世界にとりこまれていくように感じた。個人としては印刷博物館がとても好きであり、以前にも5回は訪れているが、人文知と権力がますます緊張関係のなかに置かれるなかで、誰が印刷し、それが誰の手に渡り、読まれてきたのかという構造を視覚的、そして学術的に見せてくれるこの博物館は貴重であり、これからも必要な館であり続けると強く確信している。

・受賞者より(印刷博物館 石橋圭一)
 展覧会についての来場者の方の意見をSNSやアンケートなどから得る機会はあるが、このような場において直接感想を聞けるのは嬉しいことである。印刷博物館では、印刷の歴史が人類にどのような影響を及ぼしたのかということを、様々な事例を用いて紹介することを目的として企画展を構成している。おおまかな印刷の歴史としては、15、16世紀にヨーロッパで生まれた活版印刷から、インターネットの登場を経て、主要なメディアが大きく変わるということがある。今回の展覧会ではこれを掘り下げて、印刷による本が爆発的に普及した時代に、天文学、特にコペルニクスの地動説が紹介されたことを扱った。このように教科書内では簡潔に説明される出来事であっても、その歴史背景として、メディアの変換と、コペルニクスの地動説の印刷、発表に関わった人物の存在についても触れることで、当時の学者と印刷者それぞれの人物像と、それらの人物の関係性についても紹介することを目的に構成した。

(〔3〕につづく)
(2020年2月18日 文責:中西麻依)


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.todai-hikaku.org/mt/mt-tb.cgi/1635


コメントを投稿

投稿されたコメントは、当ブログ管理者が承認手続きを行なうまで表示されません。
「メールアドレス」「URL」ともに、入力は任意です。
入力された「メールアドレス」はブログには公開されず、必要がある場合のみ、管理者から連絡させていただくことがあります。
「URL」欄には、投稿者ご自身のブログなど、紹介したいアドレスがある方のみご記入ください。


画像の中に見える文字を入力してください。