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CatalTo2018 授賞式・パーティー開催〔3〕


日時:2019年7月26日(金)15 : 50 - 19 : 00
場所:東京大学教養学部駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3およびオープンスペース
出席者:学内外関係者51名
活動報告:(〔2〕のつづき)

 この展覧会カタログのデザインは中野豪雄さんによるものであり、中野さんはCatalToにおいて常連の受賞者である。デザインについて工夫した点の一つとしてやはりコールドフォイル印刷があるが、これは一般的な箔押しによる印刷よりもコストを抑えながら色彩にヴァリエーションを持たせることのできる方法である。表紙の金色の部分にもこの方法が用いられている。またコデックス装によって装丁を仕上げることで、本の背表紙は表紙でくるまずあえて剥き出しの状態になっているが、これによってページの開きがよくなり、カタログが閲覧しやすいものになっている。コデックス装は装丁の強度に弱点があるが、カタログのデザインを優先してこの方法を選択した。また、デザイナーの方と制作の方と折衝しながら、背表紙が黒色になるようページの刷りや折りを調整し、シンプルなつくりの中で繊細なデザインを達成する工夫をした。カタログを作ることはとても大変な作業だが、CatalTo表彰式のような、他の人の意見を聞くことができる場は、より良いカタログが生まれるきっかけを作り出し、今後のカタログ文化をより豊かにするものになると考えており、応援したいと思う。

◎クロスジャンル賞(横浜美術館)
『駒井哲郎―煌めく紙上の宇宙』
・プレゼンターより(博士課程 佐伯綾稀)
 今までも駒井哲郎についての展覧会はたくさんあったが、このカタログは駒井の、ジャンルを超えた活動の展開に焦点を当てている点で独創的である。カタログの冒頭では、駒井の制作初期の動向と並行してアルブレヒト・デューラーやオディロン・ルドンの作品が紹介されているが、自分の研究対象であるイタリア未来派のボッチョーニも同じくこのような作家を参考にしていることを考えると、駒井の制作動向もより一層おもしろく感じられた。駒井が実験工房などで作曲家や写真家とのコラボレーションを行っていたことや、舞台美術をも手掛けていたことはこの展覧会で初めて知り、興味深かった。駒井の晩年の作品には色彩の爆発を思わせるものもあり、胸に迫るものとして感じられた。
 展覧会カタログは読みごたえがあり、駒井と関連作家の間の書簡も紹介されており、そこから駒井の人柄が感じ取れた。この一冊で駒井哲郎が丸ごとわかるというような素晴らしいカタログである。

・受賞者より(横浜美術館 片多祐子)
 今回の展覧会では、これまで主に銅版画を一途に追求した作家として理解されてきた駒井の作品の、領域横断的な魅力に焦点を当てることを目標とした。文学者、詩人、音楽家などの多ジャンルの芸術家との交流という観点を軸に構成したため、クロスジャンル賞を受賞できてこの目標が達成されたように感じている。
 工夫した点として、駒井自身が書いた文章の魅力を伝えるため、駒井の言葉と図版を同時に鑑賞できるページ構成を行った点、また他ジャンルの作家との書簡を書き起こして掲載した点がある。苦労した点としては、駒井に関わった作家が多様なジャンルにわたり、その数も多かったため、それぞれの作品などについて著作権の保持者を探し求め、許可を取ることが困難であったことが挙げられる。この展覧会に際して、小さな失敗や反省もあったが、受賞を励みに今後も展覧会の企画を行っていきたい。

◎クロスジャンル賞(弥生美術館)
『鏡花人形―文豪泉鏡花+球体関節人形』
・プレゼンターより(東京大学特任講師 堀江秀史)
 泉鏡花の文学作品の魅力を言語的な制約から解き放つことには、近現代の芸術家たちの作品が大きく力を貸してくれたと言える。鏡花の文学がもつ懐かしさ、優しさ、怪しさ、ほの暗さ、色彩といったイメージは版画や映像などのかたちをとることでより広い人々に共有される。この展覧会カタログはそうした試みの新たな成果であり、鏡花文学の闇と幻に、言葉や平面芸術とは別の開路から潜り、浸る快楽を与えてくれるものであると言える。

(〔4〕につづく)
(2020年2月18日 文責:中西麻依)


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