東大比較文学會
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『比較文學研究』第93号

『比較文學研究』第93号(特輯:近代性〔モダニテイー〕)が、2009年6月に
刊行されました。
定価は3,700円(税別)です。

以下は『比較文學研究』第93号の「編輯後記」です。


◎ 本号の編輯にあたっては、東大比較文學會会員のうち、中堅の会員に
原稿を依頼することを、まずは考えた。東京大学比較文学比較文化研究室
の卒業生の多くは、広義の近代文学・文化研究に携わってきた。そうした
認識から「近代」という領域は容易に浮かび上がったのだが、雑誌の特輯
テーマとするには、少し工夫が必要となる。「近代性」(モダニティー)は、
やや苦しまぎれの選択だったと言わざるを得ないが、原稿依頼にあたり、
こちらの意とするところは容易に通じた。こうして寄稿されたのが、千葉
一幹、吉田和久、花方寿行各氏の論文である。「近代性」という、ゆるやか
なテーマ設定によって、多様な視点からの論文が集まった。本号に間に
合わなかった会員もあるが、他日を期したい。
◎ 昨年十月八日、金素雲先生生誕百周年を記念して、公開シンポジウム
「金素雲を今いかに語るか」が駒場キャンパスで開催された。当日は、
川本皓嗣、上垣外憲一、林容澤、鄭百秀各氏の参加を得て、白熱した
議論が展開した。『比較文學研究』では、第七十九号で「金素雲」特輯を
組んでいるが、今回のシンポジウムの成果を踏まえた林容澤氏の金
素雲論と、村上芙佐子氏による書誌を以て、小特輯とした。韓国人
留学生すらその名を知ることが稀になった時代にあって、改めて金
素雲の業績を振り返る機会としたい。
◎ 本會会員内藤高氏が亡くなった。内藤氏は、平成八年から大阪
大学の比較文学講座主任教授を務めるかたわら、日本比較文学会で、
重要な職責を担われた。長い闘病生活を送られたことを知る者には、
まことに痛ましい。本号には、ささやかながら、追悼の記事を集めた。
◎ 訃報が続く。長らく東北大学で教鞭を執られた佐々木昭夫氏が
急逝された。島田謹二先生の薫陶を受けられた、本會第一世代の
会員である。御冥福をお祈りする。
◎ 本号に若い世代の投稿論文を見ないのは残念であるが、展覧会
図録評と書評に大学院生の寄稿を得た。次号以降、力作の投稿を
期待したい。一方で、博士論文の審査報告と公開審査傍聴記をそれ
ぞれ三編掲載できたのは、研究室の活況の証しとし得る。積み残して
いる報告、傍聴記もまだ多くある。順次、掲載してゆくつもりである。
◎ 『比較文學研究』も、九十三号を数えるに至った。単純計算すると、
あと四年で第百号の刊行を迎えることになる。節目として、何らかの
記念企画を考える時期にあるだろう。
(菅原克也)